テンパリすぎて書けてなかった事

              photo by takagi



2年前、ここ地元堺で、初めて全日本シクロクロスチャンピオンになった。
あの頃は、スペアバイクすらもっていなかった。
勝ったらすごいかも〜みたいな感じで。
でも、今は全く違う。
2年前、全日本チャンピオンになってから、国内で1度も負けていない。

スタートコール、もの凄く緊張した。
この、スタートラインに並んでいる選手全員、何か思う事があるから立っている。
選手全員の鼓動がgalapaさんのスタートの音楽と重なって聞こえてくるようだった。
この日の為にすべてを掛けている。
私は、だから全日本選手権にはこだわる。
身体も、心も調子は良い。
前日、Vojtaコーチにも「あやこは強いから自分の走りをすればいい」と言われた。
自分の走りをするだけ、作戦なんてない。
最初から最後まで暴走するのみ。
失う物なんて何もない。

大学の先輩や後輩達も沢山応援に来てくれている。
この日の為だけに、わざわざ遠方から応援に駆けつけてくれたファンの皆様の声援を聞きながら、スタートからなりふりかまわず、私の前は走らせないくらいの気迫で走った。
3人位のパックになるかと思ったが、1周めから少し差が開いたので、踏めるだけ踏んだ。
今年から使用しているホイール、SHIMANO:WH-7850-C50-TU のおかげで踏み出しが素晴らしく軽く、シケインの後の登りもアウターでグイグイいけたし、コーナー立ち上がりもスムーズにこなせた。
4周めに、実は後輪がパンクした。
でも、後ろとの差が30秒程だったので、詰められる可能性があったから、
パンクしていない様に走った。
恐らく、誰も気付いていなかったと思う。
やっぱり、このコースで1.7気圧は低かったかなとも思いながらピットに入りバイクチェンジした。
それからは、沢山の応援をパワーにして走った。
目指すは、3回目の1番でのゴール。
ゴールまでの直線、思う事は沢山あった。
と、優勝に感動してはいたが、後ろの壮烈な2位争いが気がきでは無かった。
ガッツポーズでゴールして、すぐに自転車から降りた。
親友の酒井真澄が2位なのにガッツポーズでゴールに飛び込んできた。
まっすんが正直ここまで走るとは誰が想像しただろうか。
彼女は、トレーニング中に足を痛め、その後も何回も筋を切っていた。
正直、2週間前の世界選セレクションレースも出れなかったし焦ったと思う。
でも、ずっと一緒に色々対策をして、心のコンディションも上げて、この大会に挑んだ。
会場中全員、良くてまっすん3位やろと思っていたに違いない。
しかし、彼女の、この大会に掛ける気持ちと、ここは地元や、絶対負けへんという「大阪の女ど根性魂」で強者を最後に、引き千切った。
会場にいた誰もが、彼女の走りに心打たれる物があり、何か心に残ったと思う。
本当に、「魂の走り」というか、「魂の叫び」だった。

荻島美香選手、この人は正真正銘クロッサー。オーラがやはりある。
ヨーロッパで私が全然走れず、凹んでいたら電話してきてくれて、
励ましてくれ、向こうで色々面倒みてくれている。
しかも、荻島さんは、向こうのレースで普通に走れているし、強い。
だから、今年来日し、この日に掛けたんだと思う。
スケジュールもハードで、すごく辛いコンディションで走ったに違いない。
また、オランダに帰ってコンディションを上げて一緒に戦いたい。


本当に、沢山の皆さんが応援してくれて、沢山の方々がブースまで尋ねて来て下さって、本当にありがとうございました。
応援してくれる皆様、コーチのVojta Cervinek氏、私を支えてくれているスポンサーの皆様、そして、この日の為に長い時間を費やし準備してくれたチームのみんな、ほんとうにありがとうございました。
私は、一人では走れません。

次は、いよいよ世界選手権。
悔いの無いように全力でトレーニングし、全身全霊をかけて戦って来たいと思います。本当に、ありがとうございました。

                 豊岡英子